コテツとの出会い


 2011年3月22日。夜8時半ごろ、南相馬からの大型馬運車がホースガーデン前に

到着しました。

 

馬の名前は「ルージュビクトリー」。4歳の男の子。

 

 待ち合わせの鶴ヶ島インターチェンジへ迎えにゆくと、計画停電のまっただ中。オーナーのKさんが馬運車の運転席から降りてきてくださった。


 あいさつもそこそこに、コンテナの小さなドアをあけると、ぽつん…と一頭。

 

 「もう、昨日で他の馬みんな出て最後残されちゃった もんだからぁ~。すねちゃっぇ……。」

 可愛そうに、早く新しいお家へいこうね!。

 

 停電の中、大型馬運車を案内するのは、本当に命懸け。
 小回りがきかず、生き物を乗せたトラックに立ち往生は絶対、ゆるされない。

 低い架橋、ほそい道、まがりかど。いつも通っている道にもいがいにダメな箇所はある。

 しかも停電…。

 

 なるべくこの時間帯をさけようと、周到に調べたがインターからいくつものエリアをこえていかなければならないので、限界があった。最寄りの東松山からは、ほとんど停電。待ち合わせ場所の料金所出口も広い、鶴ヶ島に白羽の矢が立った。

 鶴ヶ島インターを出て、407号を日高方面へ。(*南の方向)
国道から市役所(*鶴ヶ島市役所)の交差点を一般道(*114号線)へと右折する、最初の難関。真っ暗闇から直進してくる一般車を避けてなんとかまがり切ったが…すでに冷や汗。

 三菱のちっちゃな軽と、4トンロングの決死の旅が始まった。

 相馬の状況は切迫していた。本当なら停電の影響の少ない時間帯を選びたかったけれど、それどころではなかった。

 まわりの家はみな避難しているのに、Kさんは馬が心配で相馬をはなれられずにいたというのだ。

 しかも、自分の馬ばかりでなく、近所でおきざりにされた馬を引き取り、全部にゆきさきを
探しておくりだしてきたという。

 ルージュビクトリーはその最後の馬だった。

 

 無事にホースガーデンの門をくぐりぬけたときには、「ふ~っ…。」と、身体中の力がぬけた…。